日本では、最近、金価格が最高値更新されましたが、海外のドル建てではまだ最高値に届いていません。金価格の特長を基にその理由と今後の金投資について考えてみました。
金の価格とドル・円との関係
金の価格は、海外では1トロイオンス(約31.1g)のドル建ての値が、また日本では、ドル円換算した1g当たりの円価格で表示されます。
例えばドル建て価格は1,734.3ドル/トロイオンスとか、日本円では、6,615円/gです。このため、円価格にはドル円の為替相場が大きく影響されることになります。
一般的に金とドルは、金が下がるとドルが上昇する(逆もしかり)という逆相関があります。また、外国為替取引のドルと円は、相対値ですので(ドルが上がると相対的に円が下がる)、これも逆相関にあります。
つまり、一般的にドルと金と円の関係は次に関係があります。
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ドル上昇 ⇒ 金価格下落 ⇒ 円下落
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ドル下落 ⇒ 金価格上昇 ⇒ 円上昇
このように、金と円の価格は同じような動きになる傾向がありますので、円でみると金価格は動きが少なく安定しているように見えるのが一般的でした。
しかし、最近、円の金価格が最高値になりましたが、ドル建ての金価格は、まだ最高値になっていません。ドル円の為替相場が比較的安定しているにも関わらず、今までの常識から外れた結果が現れてきています。
金価格の推移
次の図は、チャート広場に掲載されている最近10年間のドル建て金価格のチャートです。
ドル建ての金価格最高値は、2011年9月の1,923ドル/トロイオンスです。この時は、リーマンショックが2008年9月にあり、その対策としての今と同様の金融緩和(ゼロ金利政策)と中国・インドの実需要が金価格を押し上げたと理由付けられています。
この時の最高値には、まだ届いていません。
一方、円建ての過去の金価格最高値は、1980年1月の6,495円/gで、しかも外国為替取引値は、240円/ドルでした。それが、5月18日に最高値6,712円/gを付けており、さらに最高値を更新する可能性があります。
円建て価格が最高値を付けた一つの理由
新型コロナウィルスの影響は世界的なものですので、ドル円は比較的安定しています。その状況で、円建て価格が高値を付けるということは、円で金を購入している方が多いという事になります。
日本(中央銀行、個人)が金を購入しているか、または自国通貨に自信のない国が一旦円に換えてから金を購入しているのかですが、後者は、円に換えるならドルに換える方が良さそうですので、やはり日本が購入しているのかなぁと予想できます。
これについては、まだデータがありませんので、このぐらいにしておきたいと思います。
金価格の上限目安
円建ては外国為替取引相場の影響を受けますので、ドル建てで考えたいと思います。
リーマンショック後を見ると暫く上昇した後に安定しています。同じ程度と考えると、1.4~1.5倍強値上がりして安定するだろうと仮定し、2,000~2,200ドル/トロイオンス、心理的な節目である2,000ドル/トロイオンスぐらいでどうでしょうか。
さいごに
頭の体操として、素人が生意気にも大胆に価格予想をしましたが、金は比較的安定している反面、リターン(利益)も小さいと思いますので、無理は厳禁です。
資産防衛としては、先人の教えのとおり、積立で時間分散を図り、5~10%程度に抑えておくことが良いと思います。