万一の時に自分名義の預貯金口座等が凍結され、お金が自由に下ろせなくなります。医療機関やお葬式の支払や当面の生活費に困る場合もありますので、残された家族が大変です。
これを避けるため、相続法が改正され一部は引き出しできるようになりましたが、その他に生命保険や相続型信託の活用があります。生命保険などは誰でも入っていると思いますが、必要な手続きを含め、おさらいも兼ねて説明します。
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万一の時の早急にお金を用意する方法
今や常識になって来ましたが、亡くなった方の預貯金や証券口座等は金融機関が知った時点で、即口座が凍結され、その口座から一部のお金しか引き出しできなくなります。預貯金を全て活用できるようになるのは、相続協議が終了した後です。
当人が危なそうだと感じたら事前に引き出しておく手もありますが、急に言われても困りますね。
比較的容易な方法としては次の3点でしょうか。
- 相続法で改正された方法の活用
- 生命保険の活用
- 相続型信託の活用
以下、概要と必要な手続きについて説明します。
相続法で改正された方法の活用
全ては銀行等への連絡から始まりますので、残された家族のために連絡先を分かるようにしておくと安心です。
できればエンディングノート(自分が亡くなった時のことをまとめておくノート:預貯金・保険等口座や連絡先の一覧表、家系図、お葬式の希望、財産引継ぎの希望、コレクションの処分方法等)でまとめて記載しておくとかです。
エンディングノートも最初から完璧を求める必要は無く、一部でも良いですので、書けるところから始めてください。
概要
2019年7月から相続法の一部が改正され、故人の預貯金が次の範囲で引き出すことができるようになりました。
- 「預貯金額×1/3×法定相続分」かつ1金融機関から払い戻し可能額は150万円まで
たとえば故人の預貯金額が600万円で法定相続人が2人の場合、「600万円×1/3×1/2=100万円」まで払戻しが可能になります。
必要な手続き
上記の範囲であれば、次の資料が必要です。ただし、銀行によっては若干異なる場合もありますので、念のため銀行に確認してください。
他の相続人に承諾を得る必要はありませんが、後々の事を考えて使途を含めて伝えるべきです。
- 故人(被相続人)の戸籍謄本(又は全部事項証明書)
- 故人(被相続人)の除籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本(又は全部事項証明書)
- 預金払い戻しを希望される相続人(例えば奥さん)の印鑑証明書
- 窓口に来られた受取人(相続人)確認書類
なお、これ以上の預金払い戻しが必要な場合は、家庭裁判所の判断が必要になります。
生命保険の活用
長い間かけていた生命保険もやっと活かせることができます。自分で使えないのが残念ですが。
概要
生命保険金は、保険会社に必要な書類が到着した日の翌日から5営業日までに下りてきます。さらに5営業日を過ぎた場合は所定の利息を付けて支払を受けることになります。
生命保険会社に厳しめな規定ですが、これは保険法に支払の努力義務が記載されているからです。
各社のルールは約款に記載されていますので、ご確認されると良いと思います。
必要な手続き
電話では、亡くなられた日や原因などを聞かれると思いますが、持参する資料として次のとおりです。
- 保険証書
- 会社指定の請求書
- 死亡診断書・死体検案書
- 故人(被保険者)の住民票
- 受取人戸籍謄(抄)本
- 事故の場合は、受傷状況報告書と交通事故証明書(交通事故の場合)
- 窓口に来られた受取人の本人確認書類
相続型信託の活用
次に説明するのは、三菱UFJ信託銀行が扱っている相続型信託「ずっと安心信託」で、私も利用させていただいています。
概要
自分が万一の時に、信託していたお金を事前に設定した受取人(相続人、私の場合は奥さん)にスムーズに渡すことができます。
また、信託期間中に自分に対して定時定額受け取りする事もできます。
信託金額は、200万円~3,000万円で原則元本保証、手数料も見た目無し(運用収益から信託報酬が引かれますが)なので比較的手軽です。ただし、利息は金銭信託なのでほとんどありません。
必要な手続き
電話で確認後、次の資料を窓口に持参します。
ご興味があれば次のサイトをご覧ください。
さいごに
相続が発生した場合は、相続人や相続財産の確定、預貯金口座や証券口座の移管・解約、名義変更、不動産登記変更、相続税申告等々大変です。
しかし、まずは当面のお金の問題がありますので、早めに対策をしておくことが安心につながります。