介護施設として人気の高い特養ですが、それでも毎月の出費はバカにできません。公的な支援策として、介護施設の負担上限、高額介護サービス費、高額医療・高額介護合算療養費などがあり、さらに住民票を移すことで負担軽減を図ることができますので、これらについて説明します。
特養とは
特養(特別養護老人ホーム)は、公的な介護施設で、低価格、比較的サービスが良い、亡くなるまで居られる等で人気の高い施設です。しかし、希望者が多く、半年から数年ほど入居待ちするのが普通です。
特養の入居には、要介護3以上、原則65歳以上の条件があり、保有資産には関係ありません。ただ、緊急性の高い方を優先して入居させていきますので、入居待ちが数年続く場合があります。
介護施設の利用者負担
介護保険施設を利用した時の居住費・食費は、申請が必要ですが次のように上限額が決められています。第1段階~第3段階が、預貯金等の制限がありますがさらに負担軽減サービスを受ける事ができます。
利用者負担段階での食費、居住費の負担限度額は次の表のとおりです。
最も負担の大きい第4段階のユニット型個室では、食費と居住費を合わせて101,940円です(赤線内)。また、この他に、介護サービス利用時の自己負担(1割~3割)、日常生活費などが必要になります。
高額介護サービス費で1か月の負担軽減
1か月の介護保険サービス等の利用者負担合計が下記の上限額を超える場合、申請により超えた額が支給されます。 地方自治体により若干異なりますが、横浜市の場合は次のとおりです。
高額医療・高額介護合算療養費で1年間の負担軽減
高額医療・高額介護合算療養費は1年間の自己負担額の上限です。次の表も横浜市の例です。
ケーススタディ(介護施設に住民票を移すメリット)
例えば、次の仮定で整理してみたいと思います。
息子(現役並み所得者)家族と同居している母親(要介護3、70歳、無職、年金受給72万円/年、預貯金1,500万円)が、入居待ちをしていたがこの度、特養への入居が決まった。
流れで示すと次のとおりです。
- 特養のユニット型個室に入居する
- 特養に住民票を移す⇒非課税世帯になる(息子家族と別世帯になる)
- 特養の食費・居住費の利用者負担段階は、預貯金1,500万円があるので「特養の食費・居住費の負担限度額」の表の赤枠のとおり、 第4段階(軽減無し)なので、食費・居住費の合計は101,940円となる。
- 高額介護サービス費は、「高額介護サービス費の自己負担の上限額(横浜市)」の表の赤枠のとおり、自己負担限度額は15,000円(月額)が適用される
- 高額医療・高額介護合算療養費は、70歳以上の住民税非課税世帯となるので、「高額医療・高額介護合算療養費制度(70歳以上、横浜市)」の表の赤枠のとおり自己負担限度額は31万円(年額)が適用される。
住民票を介護施設に移したことで、上記4、5のとおり自己負担を大きく抑えることができました。
さいごに
老後の不安は常につきまとい、介護については、ボケる恐怖と共に残された家族の事も心配です。
今回整理した内容については、その時になっていろいろとサポートしてくれる方も居られると思いますが、その結果が自分や家族の思いと異なる可能性もあります。
自分が気が付かないうちに時期を逸しないよう、いまから事前に対策を考えていきたいと思います。