たのしくためる

へたな横好き白ノ葉ブログ

60歳以降も厚生年金に加入していると老齢基礎年金は増えるのか、経過的加算部分とは何

老齢厚生年金の経過的加算部分について、老齢基礎年金との関連

老齢基礎年金は、20歳~60歳までの480月が支給計算の対象期間です。60歳以降も継続して会社に勤めて厚生年金保険に加入している場合に、65歳以降支給される老齢厚生年金は増えていきますが、老齢基礎年金が増えるのか気になり調べて見ましたので、説明します。なお計算方法は、令和2年4月からの値で、分かり易いように簡略化しています。このため、誤差が少し出る場合があります。

老齢基礎年金はいつまで増えるのか

老齢基礎年金は、20歳から60歳までの全期間保険料を納めた方が、65歳から満額の老齢基礎年金が支給されます。このため、60歳を超えると基本的には増えない事になります。

老齢基礎年金の計算方法は次のとおりです。ただし、保険料納付済月数は上限があり480月です。

  • 老齢基礎年金額=781,700円×保険料納付済月数/(加入年数×12月)

老齢厚生年金はいつまでふえるのか

老齢厚生年金は、老齢基礎年金の資格期間を満たした方が65歳になった時に、老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金が支給されます(65歳前でも一定条件を満たすと特別支給の老齢厚生年金を受給できますが、今回の説明では、除外します)。

老齢厚生年金の計算方法は次のとおりです。

  • 年金額=報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額 

報酬比例年金額とは、平均標準報酬月額に生年月日に応じた率を掛け、さらに被保険者期間月数を掛けた値です。報酬比例部分には被保険者期間(厚生年金保険を納めている期間)の上限がありませんので、加入期間に応じて年金額が計算されます。

経過的加算は、次の節で説明します。

加給年金とは、一定条件を満たした被保険者(夫)が65歳到達後、生計を維持されている配偶者または子(18歳未満)がいるときに加算される年金です。例えば、年下の配偶者がおり、夫が昭和18年4月2日以降の生まれの場合は、390,900円/年が加算されます。

老齢厚生年金の経過的加算部分とは

年金定期便を受け取られた方には、老齢厚生年金の部分に経過的加算部分の金額が記載されている場合があると思います。

ちなみに私の場合も経過的加算部分に金額が書かれていました。何なのだろうなと不思議に思っていましたが、年金制度が良く変わりますので、その過渡期の扱いなのだろうなと漠然と思っていました。

今回、60歳以降も厚生年金保険に加入していると老齢基礎年金は、その分増えるのかと疑問に思い、これを調べて見てわかりました。

要するに、老齢基礎年金は増えないけれども(計算期間は60歳までなので)、代わりに経過的加算部分が増えるという事です。

65歳以降支給される老齢年金

次の図は、老齢厚生年金の経過的加算部分の位置付けをイメージしたものです。

左側は、厚生年金保険に20歳~60歳までの480月加入している方の例です。公的年金としては、老齢基礎年金満額と老齢厚生年金報酬比例部分が受給できます(この他に年下の妻や18歳未満の子供が居ると加給年金ももらえます)。

右側は、上記より入社が遅れて厚生年金保険に25歳~60歳まで加入し、さらに60歳以降も65歳前まで会社勤めを継続し、厚生年金保険に加入している方の例です。厚生年金保険の加入期間は、同じく480月です。

厚生年金の経過的加算部分の位置づけ

【厚生年金の経過的加算部分】

60歳以降は老齢基礎年金の計算期間では無いのですが、老齢厚生年金の経過的加算部分で同じ年金額を加算し、結果的には、右側でも老齢基礎年金期間を480月と計算した場合と同じ年金が支給されます。

何故このようになったかと言えば、元々国民年金制度と厚生年金制度に分かれていた時期、厚生年金は定額部分と報酬比例部分から成っていました。これが今の2階建て構成で、1階は(国民年金と同じ)基礎年金、2階は報酬比例部分となったことで、1階部分の基礎年金の60歳までと、(元々の1階部分の)定額部分の厚生年金加入期間までとで齟齬は発生してしまいました。

厚生年金の経過的加算部分は、この差を補うためのものです。

なお、今回は、60歳を超えた場合の説明でしたが、老齢基礎年金の計算期間は、20歳~60歳ですので、20歳前に厚生年金保険に加入している期間も経過的加算部分の対象となります。

さいごに

年金はほんとうに複雑です。今までの年金制度改正の長い経緯があり、極力、制度間で大きな不利益が発生しないようにした結果だと分かるのですが、過去の経緯を理解している専門家でなければ正確な年金額を計算できないという事で良いのか疑問です。

税金もそうですね。自己責任を問われる反面、このように複雑では。。。

せめて、人にやさしいIT化を進めていただき、簡単に年金や税金の計算ができるようにしていただきたいと願います。